今日はいつもと趣を変えて、専門分野に関する記事を書いてみたいと思います。
初回は保育園と幼稚園の違いについてです。
多くの女性や現代の子育て世帯からしてみれば常識である保育園と幼稚園の違いですが、実は今でも年配や独身の男性は、違いを分かっていない人が案外多いのが事実です。
まず、両者は法的根拠も所轄庁も全く違う施設です。
保育園は根拠法が児童福祉法で、所轄庁は厚生労働省で、児童福祉施設。
幼稚園は根拠法が学校教育法で、所轄庁は文部科学省で、学校。
これらを見るだけで、全く別物なのだということはお分かりいただけると思います。
利用できるのは保育園は0~6歳児であるのに対し、幼稚園は3~6歳児、保育時間も保育園は必要に応じて個々人で変わるのに対して幼稚園は4時間(預かり保育除く。)と決まっていたり、細かい違いをあげたらきりがありません。
ただ、このように根拠法をあげて単純に区分してしまうと、大変な誤解を助長してしまう恐れがあるのもまた事実です。
それは、主に高度経済成長期の現役世代に誤解されているケースが多いのですが、学校(幼稚園)のほうが「教育」を受けられるので優れていて、保育園は共働きで両親の愛情に恵まれない子どもたちが通っている福祉施設だという認識がいまだに残っていることです。
かつては確かにそういう時代もあった訳ですが、現代は全く違っています。むしろ国が女性の活躍を推進していて、両親が仕事をする上では、保育園の存在は不可欠です。また、人口や社会構造の変化から、一部を除いて男性が一人の稼ぎで一家を養うのは厳しい時代になっており、多くの家庭で子どもを保育園に預けざるを得ない社会になってきていると言えます。
そういう状況で、一部の子どもたちだけが「教育」を受けられ、大多数の子が福祉制度のお世話にならざるを得ないということが、本当に平等と言えるでしょうか。そんなことはありませんね。
国もそのあたりはよく考えていて、「認定こども園」という幼稚園と保育園を合体させた制度を発足させたり(認定こども園については後日詳述します。)、法律よりももっと具体的なことを示した告示(保育園=保育所保育指針、幼稚園=幼稚園教育要領、こども園=認定こども園教育・保育要領)の、3~6歳児の「教育」部分の文言を完全に統一したりと、子どもの家庭環境によって、大きく差が出ないような工夫がなされています。
事実、保育園は保育所保育指針に基づいてカリキュラムを作成し、実施しているわけで、別に一日中子守りをしている訳ではなく、しっかり教育活動も行っているのです。
とは言っても、一部の学校法人の私立幼稚園などは、非常に特色があったりして、競争率がものすごいとかいった話があるのは事実なので、すべて平等なんですよと言うつもりはありませんが、少なくとも国レベルでの目標・ねらいはほとんど同じなのだということをお伝えしたいと思い、この記事を書かせていただきました。
まとめ
- 保育園(福祉施設)と幼稚園(学校)は別物。
- 「教育」に関する「ねらい」は同じ。
今後も不定期に、このような記事を書いていきたいと思いますが、ひとまず次回(時期未定)は今回の記事中にも出てきた「認定こども園」について書いていきたいと思います。