社会福祉法人設立認可直後の手続き(5)|理事会

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社会福祉法人設立認可直後の手続き(5)

続いて「第2回理事会」について解説します。

これまで説明しましたとおり、第1回理事会はあくまでも設立時理事による理事会であり、その後正規の手続きで選任された理事によって行われる「第2回理事会」がある意味最初の理事会のようなものです。

ここでは何よりも「理事長の選定」が最重要議題であり、続いて設立直後に制定しておきたい理事会制定規程を制定しておくことが通常のケースになります。

他にも法人によっては業務執行理事という役職を定款に定めておき、予め理事会で定められた事項に限って理事長と共に業務執行(例えば契約の締結や人事等)を行わせる場合があり、置く場合は理事会で決議する必要があるため、第2回理事会で行うことになります。

つまり、第2回理事会では取り急ぎ理事長の選定、業務執行理事の選定、規程の制定のみを行う場合が多く、施設の工事のタイミングによっては入札や契約についても追加される場合があります。

ちなみに、規程の制定と言っても、この段階ではまだ事業がスタートしていないケースが多いため、法人本部の最低限の規程のみということも多いです。

最低でも定款細則、経理規程の制定は行うと思いますが、事業認可の進行具合によっては就業規則や運営規程(園の根本規程)まで定めておく場合もありますが、このあたりはケースバイケースです。

これらの審議が無事に終わり、議事録が完成したら、先の評議員会議事録とともに司法書士へつなぎ(もちろん自分で登記することもできると思いますが、当法人がこれまで関わってきた法人様は皆さん司法書士に依頼されます)、「役員変更の登記」(同じ理事長が就任している場合は重任)をする流れになります。

ちなみにこの間は理事長さんは法人の預金口座の開設や工事の段取り、事業認可の準備、採用活動等非常に忙しくしていることが多いですので、できる限り我々専門家が周辺のことは支えていく必要があると考えます。行政書士法人ふたばでは、全体の流れを把握し、常に理事長の傍で助言ができる体制を整えておりますので、ご安心いただければと思います。

そして、次はいよいよ最後となる「財産移転完了報告」について解説します。これは、行政書士としての社会福祉法人設立業務の総仕上げの手続きになります。

特定行政書士 寺島朋弥

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2022年9月18日10:14 PM0件のコメント

社会福祉法人設立認可直後の手続き(4)

今回は「第1回評議員会」についてです。

まず、評議員会は事前に招集することが求められています。(法の原則では7日前だが定款で短い日を定めることも可)

しかし、評議員が決まってから招集通知を発すると、一週間後になってしまうため、通常この第1回評議員会は、評議員全員の同意を取ったうえで、「招集手続きの省略」を行います。法律上は特に形式は定められていませんが、監査の際には書証を示す必要があるため、全員から「同意書」を取得するのが通常です。

この手続きを行うことで、同日開催が可能となるのです。

そして、議案の審議ですが、理事と監事全員について、一人ずつ議案があがっていて、一括審議は認められていません。必ず一人ずつ議決を取って、選任していく形になります。

また、この理事会では理事長就任予定者は出席することをおすすめします。理由は、就任承諾を会議の最中に行うことによって、議事録の中に記載することができるためです。これは登記の際に添付書類を減らすことにつながります。

続いて、最初の評議員会では役員報酬規程を定めることが多いです。役員報酬規程は、評議員会にしか制定・改定権限がなく、理事会で行うことはできません。無報酬であれば定款のみで定めることも可能ですが、交通費といった費用を出す場合は、明確にする意味でも役員報酬規程に定めておきます。

金額は特に法令による縛りはありませんが、インターネットで完全に公表されることになるため、常識の範囲内で設定することが求められます。当法人の顧問先では、無報酬から1回の会議あたり○千円、月額○万円といった定額支給まで、様々な形がありますが、どれも行政から認められています。

要するに透明性があって、皆が納得していればそれでいい訳です。

さて、この時点で、無事に理事と監事まで定款に基づいて選任されました。残すは理事長を決めるのみとなります。理事長の選定は理事会の決議事項ですので、評議員会終結後に、すぐに第2回理事会を開催することになります。

次回は第2回理事会について解説します。

特定行政書士 寺島朋弥

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2022年9月11日10:49 AM0件のコメント

社会福祉法人設立認可直後の手続き(3)

今回は第1回評議員選任・解任委員会について解説します。

第1回理事会で制定された評議員選任・解任委員会運営規則(名称は一例)に基づいて、同理事会で選任された評議員選任・解任委員会委員によって、評議員を選任する流れになります。

委員の構成は、監事と事務局等の法人に雇用されている(されることになる)職員、そして外部委員が1名以上となっているケースが多いと思います。定款で定めることができるため、法人ごとによって違っていますが、その定款は認可の際に所轄庁の審査対象となっているため、どこも似たり寄ったりかと思います。

さて、第1回評議員選任・解任委員会の審議事項は、理事会から推薦された評議員候補者を一人ずつ審議することです。行政からの指導により、一人ずつ議案を立てることになっているため、7人の評議員がいる場合は、第1号議案から第7号議案まで用意されていて、一括審議は許されていません。必ず一人ずつ決議を取ることを求められます。

なお、理事会や評議員会では認められていない書面表決(書面上で賛成・反対の意思表示)は、評議員選任・解任委員会では規定を設けることで可能と解されており、うちの顧問先でも実際に行っているところもあります。その場合でも、議案ごとに賛成・反対を明記できるようにすべきでしょう。

ちなみに、評議員選任・解任委員会の権限は、その名のとおり、評議員の選任だけでなく、解任の権限も持ち合わせています。解任の細かな規定は、運営規則に定められているはずですが、設立したばかりの法人では滅多にそのような状況にはならないためあまり意識されることはないのですが、理事を決める評議員の人事を握っているという意味で、ある意味最強とも言えるかもしれません。

法律には定めのない、評議員選任・解任委員会ですが、委員を打診されるようなことがあった場合は、よく自身の権限を知っておくべきでしょう。

以上、今回は第1回評議員選任・解任委員会について述べてみました。次回は、この評議員選任・解任委員会によって選任された評議員たちによる第1回評議員会について解説してみたいと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

 

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2022年9月4日11:41 PM0件のコメント

社会福祉法人設立認可直後の手続き(1)

社会福祉法人設立の手続きは、当初の計画から1~3年ほどかかり、それまでに数百ページもの書類を作成・収集するといった話は、これまでにもこのブログや寺島個人のブログでも解説してきたところです。

しかし、多くの行政書士が扱っている株式会社・一般社団法人・NPO法人の設立との大きな違いは、設立登記後も約1月の間に大変な手続きが残っていることにあります。そのため、当法人では社会福祉法人設立に関する業務は、設立後おおむね1ヶ月~1ヶ月半以内に行われる寄附財産移転完了報告までサポートさせていただいております。

これまでは、認可書を受領するまでのことは幾度か解説したことがありますが、受領後についてじっくり書いたことがなかったため、これから以下の6回に分けて認可書受領後の一連の手続きについて解説していきたいと思います。

  1. 認可書受領~第1回理事会招集手続
  2. 第1回理事会
  3. 第1回評議員選任・解任委員会
  4. 第1回評議員会
  5. 第2回理事会
  6. 役員重任登記~寄附財産移転完了報告

さて、今回は1回目にあたりますので、認可書受領から第1回理事会の招集手続きまでについて解説します。

認可書の受領は所轄庁にもよりますが、対面交付が多いです。中には交付式といった形で仰々しく行う所もありますが、ここ数年はコロナ禍ということもあり、簡素に手渡しして以後の注意事項を伝達するのみというところも増えてきています。

いずれにしても事前に「認可日」は所轄庁と調整するケースがほとんどですので、こちらは一週間ほど前から裏?で司法書士と設立登記の打ち合わせを事前に進めておき、お客様には登記に必要な書類・社会福祉法人の代表印といったものを準備していただいておきます。

法令上は登記は認可日から2週間以内なのですが、現実はそんなに悠長なことは言っていられません。施設整備が絡む社会福祉法人設立の場合、不動産や工事の契約を設立直後に控えているケースが多く、1日でも早く登記をする必要があることがほとんどです。では株式会社やNPOのように余裕を持って早めに設立したらいいのではないかと思われるかもしれませんが、福祉医療機構からの借入が伴う場合はそういう訳にもいかず、どうしても工期ギリギリの認可になってしまうのです。(ちゃんと理由はあり、福祉医療機構関連の話はそれだけでシリーズ化できるほどのものですので今回は割愛します。)

そういう訳で、うちが関わってきた案件は、認可日=設立登記日(すなわち法人設立日)になるケースがほとんどです。大抵の法人さんは、その直後に公正証書による何らかの契約を控えているケースが多く、また法人の預金口座を作らなければ寄附を受けることもできず、それらは法人の登記事項証明書や印鑑証明書がないと進められないため、登記完了まで一週間ほど待ってもらうことになります。しかし、産まれたばかりの法人ですが、それを待っているだけではなく、同時並行で「第1回理事会」の招集手続きを行う必要があります。

理由は、社会福祉法人の理事(理事長含む)・監事・評議員(以下「役員等」)は、定款に基づいて選任される必要があるのですが、設立時点の役員等はあくまでも「仮」なのです。どういうことかと言いますと、定款は認可日から効力を有することになります。ところが、認可申請(本申請)の時点で役員等を決めて関連書類を提出しているのですが、それは認可日よりも1ヶ月ほど前の話です。つまり、定款が効力を発する前に決めた仮の人たちなので、施行された定款の条項に基づいて改めて全員を選任し直す必要があるのです。

そこで、理事・監事の選任権を有する評議員を決めるために、その評議員の選任権を有する評議員選任・解任委員会を招集するための理事会をまず最初に行うことが一般的です。(評議員選任・解任委員会は法令の定めではないのですが、厚労省の通知で出ていることからどこでも定款の任意的記載事項として設置されています。)

つまり、第1回理事会は唯一仮の役員が行う理事会で、以降は全て正式に決まった役員等で行うものになります。したがって、第1回理事会では、必要最低限の議案しか作成されず、基本的には「評議員選任・解任委員会運営規則制定」「評議員選任・解任委員会委員選任」「評議員選任・解任委員会開催」「第1回評議員会開催」の4つの議案だけになります。

この4つの議案を審議するために、定款の定めに基づいて招集手続きを行うことになります。法令では7日前に行うことになっていますが、理事・監事全員の同意(当然同意書等の文書で残す必要はあります)があれば招集手続きを省略することも可能ですので、普通は(派閥対立等が起こってなければ)7日前までに招集通知書を発することにこだわる必要はありません。次回以降で詳しく述べますが、その後の3つの会議は全て招集手続きを省略するのが一般的ですので(上記の議案名で「招集」ではなく「開催」と表記しているのも実はポイントです)、第1回理事会も含めて全て招集省略のほうが皆さんに説明がしやすいかもしれません。

いずれにしても、通常は登記が完了するまでの間にこの第1回理事会の書類を準備するのと、次回で述べますが、結局のところ4つの会議全ての議案書を作成してほぼ同時に発信するのが一番効率がいいことになるため、実は設立直後は、法人事務局が一番忙しい時期になってしまうのです。(法人によってはこれが4年に1回繰り返されるお祭りになってしまいますが、その点については最終回にでも…)

以上、ひとまず認可日以降一週間くらいで準備することについて簡単に述べてみました。次回は第1回理事会についての詳細を解説していきたいと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

※行政書士法人ふたばの議事録作成業務は、原則として招集通知書(議案書含む)作成から会議当日の立ち会い(必要に応じてアドバイザーの立場で議事進行のサポートもいたします)、議事録は当日中に完成させるサービスを行っております。100件以上の実績がありますので、安心してお任せください。

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2022年8月15日12:06 AM0件のコメント

理事会業務

こんにちは。行政書士補助者の田代です。

今回6月に開催されたとある社会福祉法人の理事会に同席させていただきました。

私は、これまで理事会関係の書類作成は、コロナの影響もあり、2~3回みなし決議として関わってきただけでした。

議事録は法的な文書になるので、法人の定款や定款細則などを参考にし、根拠を見つけながら作成をするので、法人全体についての知識がついていき勉強になります。

今回の理事会も法人の定款や定款細則などを参考にしながら、招集通知から議案書、そして議事録の作成までを一貫して経験しました。

しかし、みなし決議と違い実際の理事会の議事録は記入することが多かったので、いろんなものを参考にしたり、調べつつ作成しましたが、とても細かく難しかったです。

先月は、それ以外にもみなし決議や、実際に顔を合わせての理事会、テレビ会議を用いた理事会、招集通知を省略する理事会など、多くの理事会のパターンに関わり貴重な体験が出来ました。

次の理事会関係の書類を作るときは今までのことを生かしながら、根拠を理解しながらスムーズに作ることができればいいなと思います。

行政書士補助者 田代遥香

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2021年7月1日3:15 AM0件のコメント

新しい仲間

それは‥‥いつも大学院の授業でお世話になっているオウル🦉さんです🎵
 
 
本日は顧問先社会福祉法人様のオンライン理事会事前打合せでした。
 
社会福祉法人の理事会は、社会福祉法第45条の14第4項の規定により、各理事が「出席」して決議することとされていて、「対面」による開催が必要とされています。その「対面」の解釈は、ガイドラインによるとテレビ会議等を含みます。テレビ会議等とは‥‥各理事の音声が即時に他の理事に伝わり…‥以下、令和2年3月9日付厚労省事務連絡を参照ください…‥という事で、zoomでのオンライン理事会開催OK!
 
いつもゼミで大活躍のオウルさんを見ていて、面白いな~と思っていたので早速購入。半径1メートルくらいならばっちりドアップ。今日もオウルさんはその腕を見せてくれました😁
 
 
そしてスクリーンは、職人保育職員さんお手製和紙スクリーン。とても綺麗✨に映せました😊
 
特定行政書士 久保祥子
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2021年5月24日11:36 PM0件のコメント

社会福祉法人の理事会

昨日は顧問先の社会福祉法人の理事会が行われました。

コロナ騒ぎのこの時期に?と思われるかもしれませんが、ちゃんとした理由があります。

まず、社会福祉法人の予算は、年度が始まる前に理事会で可決する必要があります。これは国会や地方議会同様、3月ギリギリになるのが常です。

また、社会福祉法人は定款にもよりますが、理事長と業務執行理事は最低でも年に2回、理事会の席で業務執行状況の報告をする必要があります。

つまり、どうせやらなければならないのなら…ということで、3月に開催する法人が多いということになるのです。

しかし、今年はコロナ騒ぎで、人の密集を避けるように言われています。

予算自体は決議事項なので、定款で書面によるみなし決議ができるようにしてある法人にとっては書面でやればいいだけの話ですが、理事長等の報告は書面でやることが許されていないため、今年度中に報告回数を満たしていない法人は、本来はなんとしても3月中に行う必要がある訳です。

厚生労働省も、今回のコロナ騒動を受けての所轄庁向けの通知で、「理事会の開催時期については、監査の際、コロナの件を考慮するように」(つまり遅れていても大目に見てやりなさい)としているだけで、開催しなくていいとは言っていません。

そうなると、可能なのであれば早いうちにやっておいたほうが無難ということです。

たまたま昨日の法人は、少人数な上に、まだ開園準備中の広い保育室を使うことができたため、実行することができました。

法人の規模によって対応はまちまちかと思いますが、役員の人数が少なく、そこそこ広い部屋が使えるのであれば、そんなに先延ばしにしないほうがいいような気がします。(このあと決算や法人によっては福祉充実計画等いろいろ盛りだくさんですし…。)

ちなみに、先の厚労省通知では、テレビ電話等とは言っても、映像まで必要な訳ではなく、双方向に一斉に通話できるハンズフリー電話等でも可となっていますので、そういったものを活用するのもありかと思います。

それぞれの法人に合わせて、この危機を乗り越えてまいりましょう。

当法人では、監事とはまた違った立場で、社会福祉法人の法務顧問をさせていただいておりますので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

特定行政書士 寺島朋弥

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2020年3月28日4:40 PM0件のコメント

議事録作成(会議支援)業務

昨日はお客様の議事録作成業務のため、早朝から夕方まで対応していました。

平成29年の制度改革後の設立された社会福祉法人は、設立直後に4つの会議を連続して行う必要があります。

まず、設立時の(いわば仮の)理事による理事会で、評議員を決めるための評議員選任・解任委員会の規則を決めたり、委員を選んだりします。(その他にもいろいろ決めます。)

次に、評議員選任・解任委員会を開催し、評議員を選びます。

続いて評議員会を開催し、正式な理事や監事、役員報酬等を決定します。

最後に正規の役員による理事会を開催し、理事長等を選定し、各種規程を制定したりします。

これらを通常一日で行うため(当然最初の理事会以外は招集手続を省略するための根拠が必要です。)、社会福祉法人に関する法令を熟知している者が一人はいないとかなり厳しいと思います。

当法人の議事録作成業務は、基本的に招集手続(招集通知書、議案参考資料作成等)から当日の立ち会い、議事進行中の助言、議事録作成までがセットになっておりますので、社会福祉法人設立直後の4連続会議などは非常にヘビーな業務になります。

しかも、直後の役員登記や寄付財産移転完了報告といった行政手続のために、議事録は即日押印までして完成させ、その他にも就任承諾書等の何十枚もの押印書類をその場でチェックする必要があるため、かなり神経を使います。

20人ほどの関係者のお時間をいただいているため、絶対に手落ちがあってはならないので、相当な緊張感がありますが、無事に終わったときの安堵感は、大型案件並みのものがあります。

現在は保育・幼児教育分野に限定させていただいておりますが、今後も非営利法人の法務支援にも積極的に関わっていきたいと思いますので、法務でお困りの事業者さんはお気軽にご相談いただければと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

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2019年11月10日7:30 PM0件のコメント