保育無償化と認可外保育施設|無償化

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保育無償化と認可外保育施設

10月1日から消費増税と一緒に、幼児教育・保育無償化がスタートしました。

幼保無償化は賛否両論あり、既に便乗値上げ等の問題が明るみに出ています。私どもは5年以上児童福祉法務に携わっておりますが、この制度で一番大きな問題点と捉えていることは、

国の最低基準すら満たしていない認可外保育施設(いわゆる無認可保育園)も無償化の対象になっている

ことです。

勘違いして欲しくないのは、認可外保育施設でも、独自の保育理念を持った素晴らしい施設(国際系が特に多い)はたくさん存在し、現に私どももそういった施設の行政指導監査(最低基準を満たしているか行政が検査し、クリアしたらその証明書を発行してくれる)のお手伝いをいくつもさせていただいております。

問題は、その指導監査で不合格=最低基準すら満たしていない施設も、5年間限定で今回の無償化の対象となってしまっていることです。(独自にこれらの施設を無償化対象から除外している自治体も存在します。)

この点は、保育園を利用している保護者が集まっている会や、痛ましい保育事故の遺族の会などが度々懸念を伝えていたところですが、どういう訳かそのまま通ってしまいました。

緩和措置の趣旨としては、全ての施設への指導監査が間に合っておらず、基準を満たしているのに証明書が交付されていない施設に考慮したということでしょうけど、本来、行政は児童福祉施設に対して年に1回の指導監査を行うべきものですので、行政の不作為が子どもの安全(命)をないがしろにしていい理由にはならないはずです。

認可園でも保育事故は確かに起きていますが、統計(あくまでも行政が把握した事故のみ)を見ると、事故の件数は明らかに認可外のほうが多いですし、死亡事故に至っては、基準を満たしていない施設での件数がとても多いのが事実なのです。

保護者の皆さまへ

どうか保護者の皆さんは、認可園に入れず仕方なく認可外を利用する場合、その園が「基準を満たす旨の証明書」を取得しているか確認してください。無い場合は、単に指導監査が来ていないだけなのか、指導されているのに基準を満たしていないのかによって違ってきますが、後者のことが明らかな場合は危険と思っていただいていいでしょう。

認可外保育施設の皆さまへ

証明書を取得していない保育施設は、5年と言わず、速やかに取得できるよう努力をしていただきたいと思います。届出を行っていれば、指導監督基準はご存知だと思いますので、少なくとも自主点検で満点を取れるようにしていただきたいと思います。

弊社でも首都圏に限り、指導監査の事前点検や当日立会いといったサービスも行っており、様々な自治体の監査対応の実績もございますので、ご不安でしたら一度ご相談いただければ幸いです。

すべては子どもの最善の利益のため

私どもは、行政書士(=許認可)ですので、認可園ばかりに関わっているように思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。立派な保育・教育理念を基に素晴らしい認可外保育施設を運営されているお客様もたくさん存じ上げており、そういった施設で子どもたちが伸び伸び過ごしている姿を見ると、とても嬉しくなります。

私たちは子どもたち一人ひとりが尊重される社会の実現を目指して、日々の業務に励んでおりますので、志を共にできる保育事業者さんとの出会いを楽しみにしております。

特定行政書士 寺島朋弥


2019年10月9日11:25 PM0件のコメント

幼保無償化について

 今年の10月から3歳以上の幼稚園や保育園の利用料が原則無償化されるという話が以前から出ていましたが、本日、子ども・子育て支援法の改正案が閣議決定されました。

 待機児童が多い0~2歳児については、住民税非課税世帯のみ無償化対象で、通常の共働き世帯は基本的には無償化の対象にはなりません。そもそも認可園に関しては、住民税非課税世帯は現在も無料だったりするのですが、今回の無償化で給食費が別扱いとなり、かえって負担が増えるのではという懸念が生じています。

 しかし、例えば両親ともに大手企業の従業員等で、育児休業をまともに取得できる環境であれば、現在は2歳まで育児休業が取れる(育休手当が支給される)ため、そういう世帯にとっては一定の効果がある訳で、多少は評価できます。ただし、そのような家庭はごく一部で、特に男性が育児休業を取るのが難しい日本社会においては、どこまで実効性があるのか疑問が残るのも事実です。

 そして何より本日の閣議決定を受けて、私なりに疑問に感じることが2点あります。

 一つ目は「企業主導型保育」という“認可外保育施設”が、認可保育所や認定こども園と同列に扱われている点です。私の業務は、いわゆる認可保育園(大型保育園はもとより、自治体認可の小規模保育事業等含む。)とのお付き合いが多いこともあり、企業主導型を含む認可外保育施設の「質」に常々懸念を抱いています。

 おおざっぱに言えば、認可外保育施設は、保育士有資格者の数が認可園に比べて少なくてもいいのです。(小規模B,C型等特殊な認可事業は除く。)「保育士」は保育の技術はもちろん、児童福祉に関する法令も習得した立派な国家資格者です。当然、資格があれば皆素晴らしいのかと言えば、そうとは限らないですが、国として能力を認めて資格を与えている以上、制度上尊重して欲しいものです。

 二つ目の懸念は、認可外保育施設を利用する場合も、保育の必要性があると認定(2号認定)されている世帯に限り、3万7千円まで補助される制度で、経過措置として5年間は「認可外の最低基準(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号))を満たしていなくても良い」という点です。この基準は、本当に最低限であり、例えば保育室の面積は、1歳以上の子ども一人あたり1.65平方メートルという極めて狭いもので、実際このような環境であるのであれば自らの子を預けようなんて思えないレベルです。当然面積だけでなく、「二方向避難」等、マンション等ではなかなか難しい基準もあるにはあるのですが、それにしても国が定めた最低基準すら当面(しかも5年も!)は守らなくても税金が投入されることに大変驚いています。

 これらの点に関しては、保育園のことを厳しく監視している全国規模の保護者団体がマスコミに対して懸念表明してくれると思いますが、私も保育行政と事業者の仲立ちをしている立場上、放っておけない問題と思い、長々と書いてしまいました。

 この問題に関しては引き続き、様々な観点から研究を続けていこうと思います。

行政書士 寺島朋弥


2019年2月12日10:37 PM0件のコメント