社会福祉法人設立認可直後の手続き(6)|ブログ

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>9月>2022

社会福祉法人設立認可直後の手続き(6)

さて、このシリーズもいよいよ最終回。

第2回理事会で理事長が選定されたあとの手続きについて説明します。

第2回理事会では、通常は設立時の理事長がそのまま改めて理事長に選定されるケースがほとんどだと思います。つまり、設立されてから数週間しか経っていないのに、「重任」することになり、そのことは登記されることになります。

社会福祉法人の手続きに慣れていない司法書士さんには驚かれることもありますが、行政通達はもちろんのこと、法令を読み解けば理解はできることなので、どのような理屈でそうなるのかを説明したうえで、重任登記を急いでいただきます。

急ぐ理由としては、この間に様々な重要な契約があるケースもあり、一刻も早く最新の状態の登記事項証明書が必要となることもあります。そして、行政手続きとして、「財産移転完了報告」というものがあり、その際の添付書類でも、最新の登記事項証明書を求められます。

財産移転完了報告は、簡単に言えば法人設立直後に寄附を受けたことを、証拠書類とともに提出するというものです。

まずは現金の寄附は当然あるため、預金口座が出来次第、設立認可前に行っている贈与契約に基づいて振込みを受け、寄附金の領収書の写しと当該口座の残高証明書を添付することになります。

また、不動産の贈与を受ける場合は、こちらの所有権移転登記も急いで行い、その登記事項証明書も必要となります。(建物については、建築主として請負契約を締結するのであれば寄附には当たらないため、後に基本財産に編入する手続きだけで済みます。)

これらの寄附が全て完了してから1ヶ月以内に証拠書類を揃え、所轄庁に報告をするまでが設立直後の流れといっていいと思います。現に当法人の社会福祉法人設立認可申請業務は、この財産移転完了報告までがセットとなっています。

なお、不動産の登記について少し触れましたが、社会福祉法人が社会福祉事業のために使う不動産であれば、登録免許税が非課税になるのですが、そのためには証明書が必要で、その証明書を取得する手続きは通常は事業認可側(保育であれば保育の認可)の部署に申請することになります。これは寄附のみでなく、後ほど建物が完成した際にも必要なので、しっかり把握しておく必要があります。この手続きも行政書士業務の一つなので、当法人の場合は予めお見積りに組み入れている場合もあります。

以上、社会福祉法人の設立が認可されてから、概ね2か月以内に行われるべき手続きについて解説してきました。理事長さんたちは、この間も設計や工事に関する打ち合わせに忙殺されており、これらの法務的な手続きは見落としがちなようです。保育事業者に限らせていただいておりますが、行政書士法人ふたばはこれらの手続きの場数を多数踏んでおり、様々なケースを把握しておりますのでどうぞご安心してお任せください。

設立認可申請に携わっていなかった場合でも、事後の手続きのみをスポットでご依頼いただくことも可能ですので、お気軽にご相談いただければと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

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2022年9月25日11:19 PM0件のコメント

社会福祉法人設立認可直後の手続き(5)

続いて「第2回理事会」について解説します。

これまで説明しましたとおり、第1回理事会はあくまでも設立時理事による理事会であり、その後正規の手続きで選任された理事によって行われる「第2回理事会」がある意味最初の理事会のようなものです。

ここでは何よりも「理事長の選定」が最重要議題であり、続いて設立直後に制定しておきたい理事会制定規程を制定しておくことが通常のケースになります。

他にも法人によっては業務執行理事という役職を定款に定めておき、予め理事会で定められた事項に限って理事長と共に業務執行(例えば契約の締結や人事等)を行わせる場合があり、置く場合は理事会で決議する必要があるため、第2回理事会で行うことになります。

つまり、第2回理事会では取り急ぎ理事長の選定、業務執行理事の選定、規程の制定のみを行う場合が多く、施設の工事のタイミングによっては入札や契約についても追加される場合があります。

ちなみに、規程の制定と言っても、この段階ではまだ事業がスタートしていないケースが多いため、法人本部の最低限の規程のみということも多いです。

最低でも定款細則、経理規程の制定は行うと思いますが、事業認可の進行具合によっては就業規則や運営規程(園の根本規程)まで定めておく場合もありますが、このあたりはケースバイケースです。

これらの審議が無事に終わり、議事録が完成したら、先の評議員会議事録とともに司法書士へつなぎ(もちろん自分で登記することもできると思いますが、当法人がこれまで関わってきた法人様は皆さん司法書士に依頼されます)、「役員変更の登記」(同じ理事長が就任している場合は重任)をする流れになります。

ちなみにこの間は理事長さんは法人の預金口座の開設や工事の段取り、事業認可の準備、採用活動等非常に忙しくしていることが多いですので、できる限り我々専門家が周辺のことは支えていく必要があると考えます。行政書士法人ふたばでは、全体の流れを把握し、常に理事長の傍で助言ができる体制を整えておりますので、ご安心いただければと思います。

そして、次はいよいよ最後となる「財産移転完了報告」について解説します。これは、行政書士としての社会福祉法人設立業務の総仕上げの手続きになります。

特定行政書士 寺島朋弥

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2022年9月18日10:14 PM0件のコメント

新しい仲間

今日から新しい仲間が増えました。

これで行政書士2名、補助者3名の5名体制になりました。

本日入社したスタッフは、行政書士試験合格者なので、法的思考力の素養はあるということで、いろいろと楽しみです。真っ新の新人から育てるのとはまた違った楽しみがあります。

1年後、2年後、どうなっているか楽しみです!

特定行政書士 寺島朋弥

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2022年9月12日8:32 PM0件のコメント

社会福祉法人設立認可直後の手続き(4)

今回は「第1回評議員会」についてです。

まず、評議員会は事前に招集することが求められています。(法の原則では7日前だが定款で短い日を定めることも可)

しかし、評議員が決まってから招集通知を発すると、一週間後になってしまうため、通常この第1回評議員会は、評議員全員の同意を取ったうえで、「招集手続きの省略」を行います。法律上は特に形式は定められていませんが、監査の際には書証を示す必要があるため、全員から「同意書」を取得するのが通常です。

この手続きを行うことで、同日開催が可能となるのです。

そして、議案の審議ですが、理事と監事全員について、一人ずつ議案があがっていて、一括審議は認められていません。必ず一人ずつ議決を取って、選任していく形になります。

また、この理事会では理事長就任予定者は出席することをおすすめします。理由は、就任承諾を会議の最中に行うことによって、議事録の中に記載することができるためです。これは登記の際に添付書類を減らすことにつながります。

続いて、最初の評議員会では役員報酬規程を定めることが多いです。役員報酬規程は、評議員会にしか制定・改定権限がなく、理事会で行うことはできません。無報酬であれば定款のみで定めることも可能ですが、交通費といった費用を出す場合は、明確にする意味でも役員報酬規程に定めておきます。

金額は特に法令による縛りはありませんが、インターネットで完全に公表されることになるため、常識の範囲内で設定することが求められます。当法人の顧問先では、無報酬から1回の会議あたり○千円、月額○万円といった定額支給まで、様々な形がありますが、どれも行政から認められています。

要するに透明性があって、皆が納得していればそれでいい訳です。

さて、この時点で、無事に理事と監事まで定款に基づいて選任されました。残すは理事長を決めるのみとなります。理事長の選定は理事会の決議事項ですので、評議員会終結後に、すぐに第2回理事会を開催することになります。

次回は第2回理事会について解説します。

特定行政書士 寺島朋弥

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2022年9月11日10:49 AM0件のコメント

社会福祉法人設立認可直後の手続き(3)

今回は第1回評議員選任・解任委員会について解説します。

第1回理事会で制定された評議員選任・解任委員会運営規則(名称は一例)に基づいて、同理事会で選任された評議員選任・解任委員会委員によって、評議員を選任する流れになります。

委員の構成は、監事と事務局等の法人に雇用されている(されることになる)職員、そして外部委員が1名以上となっているケースが多いと思います。定款で定めることができるため、法人ごとによって違っていますが、その定款は認可の際に所轄庁の審査対象となっているため、どこも似たり寄ったりかと思います。

さて、第1回評議員選任・解任委員会の審議事項は、理事会から推薦された評議員候補者を一人ずつ審議することです。行政からの指導により、一人ずつ議案を立てることになっているため、7人の評議員がいる場合は、第1号議案から第7号議案まで用意されていて、一括審議は許されていません。必ず一人ずつ決議を取ることを求められます。

なお、理事会や評議員会では認められていない書面表決(書面上で賛成・反対の意思表示)は、評議員選任・解任委員会では規定を設けることで可能と解されており、うちの顧問先でも実際に行っているところもあります。その場合でも、議案ごとに賛成・反対を明記できるようにすべきでしょう。

ちなみに、評議員選任・解任委員会の権限は、その名のとおり、評議員の選任だけでなく、解任の権限も持ち合わせています。解任の細かな規定は、運営規則に定められているはずですが、設立したばかりの法人では滅多にそのような状況にはならないためあまり意識されることはないのですが、理事を決める評議員の人事を握っているという意味で、ある意味最強とも言えるかもしれません。

法律には定めのない、評議員選任・解任委員会ですが、委員を打診されるようなことがあった場合は、よく自身の権限を知っておくべきでしょう。

以上、今回は第1回評議員選任・解任委員会について述べてみました。次回は、この評議員選任・解任委員会によって選任された評議員たちによる第1回評議員会について解説してみたいと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

 

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2022年9月4日11:41 PM0件のコメント