保育事業と営利企業

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保育事業と営利企業

認可保育事業は福祉事業ではあるものの、株式会社等の営利目的企業の参入も認められています。

ところが株式会社の究極の目的は、とにかく多くの利益をあげて、株主に配当をすることにあります。しかし、認可保育事業の場合は公定価格があり、子どもの人数に応じて収入の上限が決まっています。そのような縛りの中で利益を出し続けるためには、人件費を含むコストを圧縮していく必要があるのです。(これはあくまでも建前論であり、現実は保育事業が主体の株式会社で、配当できている会社などほとんど無く、別の手法で利益を移動させているでしょう。)

これこそが社会福祉法人等の非営利法人と比べて人件費比率が劣ってしまう最大の要因です。

実はこの時点で、公定価格で運営される福祉事業の目的と営利目的企業の目的は矛盾していると言えます。また、介護や障害といった他の福祉事業と比べて、保育は行政の保護が手厚い(その分口は出されますが)ため、参入できてしまうと経営は安定しやすいと言えるかもしれません。

しかし、絶対に忘れてはならないことは、保育は福祉と教育であるということ。何よりも優先されるべき子どもの最善の利益に対する想いなしでこの事業に手を出すことはあってはならないと考えます。

うちは、初回相談の席で代表者の言葉から「子どもの姿」が感じられない事業者様とはお取引はできません。

このようなことを書くと、株式会社はダメなのかと誤解されるかもしれませんが、株式会社であっても素晴らしい保育を実践されていて、保育職員の定着率が高い施設は実在します。保育職員が生き生きと仕事をしている園では、子どもたちも楽しそうに過ごしています。(実は取引先の園に伺う際は、そういったところも確認しております。)そのような園が増えていくよう、お手伝いさせていただくことが我々の望みの一つであったりします。

行政書士 寺島朋弥

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2021年9月4日11:21 AM0件のコメント

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