研修会の質疑応答
2021年1月26日に開催されました東京都行政書士会豊島支部研修会において、質問がありました件について、参加者の皆様には個別に配信いたしましたが、ご参考までに以下に掲載します。
開業から現在まで認可申請を何件ほどされていますか?
大小20件程度です。(法人として。仕掛り含む。)
保育関係のお仕事をされる事になったきっかけなどあればお聞かせください。
そもそも子ども関係の業務を行うために行政書士になりました。
現に開業前から一貫して「幼稚園、保育園関係の業務をしたい」と言い続けていました。
ただし、本編でも申し上げたとおり、前職は保育とも行政手続とも全く無縁の業界出身で、寺島のほうも同じく異業種出身ですので、予備知識など教わったことはなく、本当にゼロからのスタートで、ここまで築き上げてきました。
何で12部も必要なんでしょうか
行政庁の審査に関わる員数分印刷して用意する必要があるためです。
これまでの経験では、一番少ないところで6部、多いところで15部です。
住民の一人でも反対し続けたら、保育園を開園できないのですか?
訴訟等起こされない限りは強行することもできなくはないですが、開園後の地域との関係性を考慮すると、できる限り合意形成をしていくほうがいいと考えています。
久保先生は住民説明会にどのような立場で出席されるのですか?
行政手続をはじめ、全ての行程を管理する立場で出席します。保育課との総合窓口になる以上、一番情報が集約されるため、必然的になんでも屋になってしまいます。そのため、住民の皆様への説明や、質疑にお答えすることもあります。
説明会の反対意見とはどのような理由でしょうか?
よく報道される子どもの声、保護者の立ち話や自転車の音といった騒音への懸念から、老人向けの施設を併設して欲しい、保育園の中に誰でも入れる図書館を作って欲しいといった難しい意見まで多種多様です。
設立に2~3年かかる理由は何ですか?
2~3年というのは大型の認可保育所のケースですので、小規模保育事業等、1年以内に完結するケースもあります。東京都の認可保育所の場合、本申請の約1年前に東京都児童福祉審議会による計画承認という手続があり、その計画承認後は基本的に変更ができなくなるため、本申請の1年前にはほぼ計画は固まっている状態です。
「確認」で、市町村から設置を拒否されることもあるのでしょうか?
設置は「認可」のほうで、「確認」は運営のほうなので、そもそも別々の手続です。
よって設置はできるけど、運営費が入ってこない=事実上運営できないことになります。
また、運営中でも確認取消処分ということもあり、実際に確認取消処分一歩手前で相談を受けて、対応した事例もあります。
住民説明会、近隣挨拶の対象となる住民の範囲を教えてください(半径300メートルの住民など規定されているでしょうか?)。
自治体によってまちまちですが、自治会長さんにご挨拶して、回覧板で流してもらうのが一番手っ取り早いやり方です。しかし、以後の変更が難しくなる「計画承認」の直前には、半径50メートルほどのお宅には、一軒一軒戸別訪問して丁寧に説明します。
これからの時代、保育所等開設は増えていくのでしょうか?少子化&待機児童の解消が、まもなく一定程度見えてくる可能性があると考えると、新規開設支援はどこかで頭打ちになりはしないでしょうか?その意味で、1園でも立ち上げに出会い、その後、その園の補助金申請代行、アドバイジング等、顧問化が現実的でしょうか?
このまま少子化が進むと新規開設が減っていくのは当然で、現に待機児童数日本一だった自治体も、新規開設はあと数件しか予定されていません。
経験を積むという観点では、その考えでもよろしいかと思いますが、経営上の観点では1園だけではなかなか厳しいのかなと思います。(保育園に専念する場合)
ちなみに我々は、先細り産業ということを理由に撤退するようなことはあり得ません。保育に限らず、子育てをしやすい社会・環境作りのために、専門知識を活かして様々な所に働きかけていこうと考えています。
開園後のサポートが不要となる理由はどういった点にあるのでしょうか。
お客様の事務員さんが、日々の行政手続を把握・理解していくにつれて、徐々に我々の関与は不要になっていきます。我々がいつまでも全ての点について関与し続けるのは健全ではないため、最終的にはお客様だけで運営ができるようになることを目標とすべきだと考えています。
行政書士として開園から運営まで長期的な支援が必要だと思いますが行政書士として受け取る報酬はどのタイミングで請求されますか?また報酬額の基準等はありますか?
大型園の場合、報酬は概ね400万円程度になりますが、途中で何が起こるか分かりません。例えば近隣住民から訴訟を起こされた場合や、予定地の埋蔵物調査で遺跡等が出てきた場合は中断・中止もあり得ます。(うちは経験ありませんが実例はいくらでもあります。)
そのため、途中双方の責によらない事由で事業が中止になる場合に備えて、毎月分割してお支払いいただくようにしています。(一例:400万円÷36か月=毎月約11万円等)
ふたばさんのような支援業務にあたっている行政書士法人は全国に何箇所ぐらいあると把握されてますか?
インターネットで検索する限りは保育に特化した法人はないと思います。数あるサービスの一つとして保育を取り扱っている法人は数社存じ上げていますが、幼稚園等の幼児教育分野まで扱っているところは稀ではないでしょうか。
一連の業務の中で行政書士でなければできない独占業務はない、と考えていいのでしょうか?
認可・確認申請をはじめ、処遇改善等加算を含む毎月の運営費請求業務、監査の調書や改善状況報告書作成といったものは、全て児童福祉法又は子ども・子育て支援法に基づく官公署(保育課)に提出する書類ですので、それらの書類作成は全て行政書士しか取り扱えない業務です。
児童福祉法及び子ども・子育て支援法は、他士業法の個別規定に含まれていない上に、官公署に提出する書類である以上、完全に行政書士の独占業務であると考えます。
行政書士のサポートを受けていない園もあるかと思いますがそういう園は、園長がすべて対応しているのでしょうか?
公定価格の中には事務員の人件費も含まれていますので、事務員が行うのが基本です。
以上
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