全体的な計画
このタイトルでピンときた現場の第一線(担任以下)の保育士さん(実務経験2年以上)がいらっしゃったら、とても尊敬します。
この記事は、どちらかというと施設長(園長)や主任向けの記事になります。
保育所保育指針は2017年に改定され、2018年4月から新しいものが施行されており、それまで『保育課程』と呼ばれていたものが『全体的な計画』に変わりました。
当法人は、年間に10件以上の監査立会いを行っているのですが、令和元年度の監査でも残念なことに旧課程のままだったり、酷いものになると、タイトルだけが全体的な計画になっているけど、中身は旧保育課程のまま(要するに零歳児の3つの視点や幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿といった新指針に対応していない)という施設もありました。
私たちは、現場の声を大切にし、実際によく現場にも出入りさせていただいているので、理想と現実の乖離(現場の先生たちは目の前の保育で手一杯)はよくよく分かっているつもりです。
しかし、日本の保育制度は、ほとんどが公費(税金)で賄われており、やはり国の指針は大切にすべきだと思うのです。もちろん、計画は指針の内容を当てはめていくというものではなく、それぞれの園の特色を出しつつ作っていくものだと思います。
例えば、大手営利企業がたくさんの園を経営している場合に、本社が作った全体的な計画を全園に適用しているケースがあり、自治体もそれを認めている場合もあるのですが、私はそれはどうか(本来の趣旨と違うのでは?)と思っています。
ぜひ施設長(小規模等の場合は管理者)が、専門職としての誇りをもって、自らの園の計画策定を行い、それを主任やクラス担任が年カリ以降の計画に落とし込める体制を整えていって欲しいものだなと思います。
誤解しないでいただきたいのは、画一的に国の指針を守らないといけないと言いたいわけではないのです。現に指針にある10の姿だって、保育者向けの文言であり、子どもの達成目標ではないと、指針の策定に関わった専門家がはっきり仰っています。
また、保育計画は保育者に暗記させるようなものではなく、園長先生や主任保育士の日々の行動・言葉がけ等で、自然に現場に浸透させていくのが望ましいのではないでしょうか。
私たちは保育の専門家ではないため、具体的な内容についてまでは口出しできませんが、こういった保育環境作りのモデルについては、保育の研究会等にも所属して日々勉強しているので、監査対応業務のついでに、様々な形でお手伝いできればと思っております。
令和2年度も一つでも多くの素敵な園に出会えることを楽しみにしています。
特定行政書士 寺島朋弥
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